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Prokofiev/Toccata [室内楽・器楽曲]

今月のはじめにまた出張して写真をとったのですが、「戦争レクイエム」にはあわないなあ、と思っているうちに遅くなってしまいました。新幹線から撮った蔵王ですが、ちょうど雪の少ない時期で、すでに春めいて見えます。

 

久しぶりのピアノ曲は、20世紀の小品を。聴いたCDはサンソン・フランソワの1953年の録音。このシリーズ

http://www.universal-music.co.jp/classics/special/pianists/pianists.htm

の中の一枚(「第4回発売」です)で、ご想像どおり、中古屋でばら売りを買ったものです(^^; この全集はスタンウェイがスポンサーとなってPhilipsから発売されたもので、ジャケットの中にもスタンウェイの広告(?)が載っています。国内の発売はユニヴァーサルですが、ポリグラム御三家以外にもEMI、ソニーなどの録音が入っており、初CD化音源などもあるそうなので、ピアノ好きの方は持っている録音が多くても、珍しいのがあると買ってしまうかもしれませんね。中古屋でずらっとならんでいるとあまりありがたみが無いような気がしたのですが(^^;

正規盤を購入するとなるとこのへん

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

  • アーティスト: フランソワ(サンソン), クリュイタンス(アンドレ), パリ音楽院管弦楽団, プロコフィエフ, バルトーク
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2002/07/26
  • メディア: CD

でしょうか。こちらのCDの他の曲は未聴なのですが…。

プロコフィエフの「トッカータ」は21歳のときの作品。全編速い十六分音符から繰り出される機関銃のようなリズムがヴィルトゥオジティを強調します。むろんピアニストなら軽々弾けて、そこから先の味付けが勝負なのですが、フランソワの演奏は思いのほか早くなく、揺らしてもいない堅実なテンポ運びで、長い旋律をきちんと聞こえるように鳴らしたフレーズ感が魅力です。コーダのたたみかける、というよりは切り込んでいくようなアッチェレランドは、さすが面目躍如といったところでしょうか。

ところで、私がこの曲のことを初めて聴いたのは、FMでカルメンのパロディの特集をやっていたとき。ピアノで「ハバネラ」を弾き出すのだが、最初の半音階で降りてくる旋律で、DからEまで降りてきて、またDからはじめると1回目と同じ旋律になってしまい、いろいろ変奏しながら何度弾いても繰り返してしまって先に進めない、というもの。

最後はたしかピアニストがおかしくなってしまうのではなかったかと思うのですが、何度も繰返す間に装飾がエスカレートして、ものすごく難しい、旋律以外の音が山ほど入った変奏になってしまうところについて、解説で「プロコフィエフのトッカータのようなすごいことになっている」と言っていたのです。

当時ピアノがわずかに弾けて(もう習うのはやめてましたが)、この曲を知らなかった私は「どんなすごい曲だろう」とあこがれ続け、何年かあとにホロヴィッツのレコードを買ってしまいました(「戦争ソナタ」がメインだったかな)。メインそっちのけで「トッカータ」を聴くと、最初はぼそぼそいってるだけ(54年の録音なので音もあまり良くない)だったのですが、だんだん盛り上がってきて、「ををを」状態。以来、私の中ではこの曲が、ピアノのヴィルトゥオジティのスタンダードみたいになってしまいました(リストやラフマニノフで無くて)。

勢いだけの若書きともいえる作品ですが、後世の多くの演奏家達がこの曲を演奏しつづけています(アルゲリッチもデビュー・レコードで入れています)。プロコフィエフ最初の名曲、といったらほめ過ぎですか。

なお冒頭で紹介したCDは、「フランソワ名演集」とでもいうべき2枚組で、1枚がショパン集(「葬送」ソナタ、アンプロンプチュなど)で、もう1枚にこの曲が入っています。他にバッハ(ブゾーニ編)の「トッカータ、アダージョとフーガ」、ドビュッシーの「ピアノのために」(第3曲が「トッカータ」)、シューマンの「トッカータ」も入っていて、さながら「トッカータ」のオンパレードです。

それぞれ微妙に味付けが違いますが、いずれもなかなか尖鋭的な演奏で、「フランソワならでは」のものが集められています。録音は1940~50年代なので、いずれも音は今ひとつ(ふたつ、みっつ、…)ですが、編者としてはこの頃の録音の方が(晩年のものより)よりフランソワらしいと考えたのでしょう。

ショパンもかなりダイナミックで、これまで、なよなよしたショパンを聴いていた(ので、あまり好きになれなかった)耳には新鮮でした。こちらの方が掘り出し物、というか目(耳)を開かせてくれる録音だったかも。


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