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Ogawa/Japonisme [室内楽・器楽曲]

昨年末から交響曲が続いたので、今回はちょっと趣向を変えてみました。 

ジャポニズム~世界の作曲家の目に映った日本~

ジャポニズム~世界の作曲家の目に映った日本~

  • アーティスト: 小川典子, ジル=マルシェックス, タンスマン, サーントー, ニーマン
  • 出版社/メーカー: キングインターナショナル
  • 発売日: 1999/12/23
  • メディア: CD
国内盤のリンクにはジャケ写が無くなってしまったので、輸入版のリンクもはっておきます。

Japonisme

Japonisme

  • アーティスト: Henri Gil-Marchex, Percy Grainger, Albert W. Ketelbey, Walter Niemann, Ede Poldini, Camille Saint-Saens, Cyril Scott, Edouard Silas, Theodor Szanto, Alexandre Tansman
  • 出版社/メーカー: Bis
  • 発売日: 1999/11/15
  • メディア: CD

1999年の録音・発売ですから、そう新しくはありませんね。発売されたときはそこそこ話題になったと思います。私はあまりこういうオムニバスものは購わないのですが、バーゲンで安かったものですからつい…(^^; とはいえ、「思いのほか楽しめた」というのが正直な感想です。

小川典子はヨーロッパを中心に活躍しており、日本人作曲家の作品集や、日本人作曲家による、日本のメロディーを用いたフルートやチェロとピアノの作品集を録音しています。しかしこのCDは、19世紀後半から20世紀前半にかけて欧州各国の作曲家が日本の旋律やイメージを題材にした作品を集めています。収録されている曲目は以下のとおり(カッコ内が作曲者)。*のついている曲「以外」が世界初録音だそうです。サン=サーンスやケテルビーの作品も初録音なのですね(それ以外の人はほとんど知りません…)。

1.古き日本の2つの映像:吉原帰り/出雲の秋月(ジル=マルシェックス)
2.日光の哀しみ(タンスマン)*
3.組曲「日本にて」:忠臣蔵/地搗唄/権兵衛が種播く/祭り囃子(サーントー)
4.歌劇「台風」~日本の歌(さくらさくら)(同/作曲者編によるピアノ版)*
5.組曲「日本」op.89:お茶屋/海の黄昏/花見/霊峰富士/芸者の踊り(ニーマン)
6.「黄色い姫君」序曲op.30(サン=サーンス/作曲者編によるピアノ版)
 7.日本の宵op.67-4(スコット)
8.東京行進曲(シラス)
9.日本練習曲op.27-2(ポルディーニ)
10.プラットホームの鼻歌(グレインジャー)*
11.日本の屏風から(ケテルビー)

題名は怪しい曲が多いですね。日本の旋律を西洋和声に乗せて装飾を施しただけものや、まんまドビュッシー的な曲想で日本の旋律とは関係なさそうなものもあります。一番多いのは「日本旋律によるパラフレーズ」みたいな、ヴィルトゥオジティを要求する曲ですが、小川典子は基本に忠実に、旋律線や細かいリズムを明確に弾いているので、曲の面白さがよくわかると思います。

ジャケットの解説には、「本来の日本の音階は『みやこぶし(C-Db-F-G-Ab)』と『いなかぶし(C-D-F-G-A)』なのだが、西洋人は、ドビュッシーの作品に出てくるような全音音階が日本の代表的な音階だと思っていたようだ」という旨のことが書いてあり、このCDにドビュッシー風の作品がかなりあることも納得。各曲についてのコメントは、輸入盤なのでちょっと読む元気が必要なのでまだろくに見てません。なので、今回はざっと全体的な印象を。

おさめられた中で最大の曲は、ドイツの作曲家ニーマンの「日本」。5曲からなる20分あまりの組曲で、日本旋律はあまり用いられず、印象派的な曲想が中心になります。この中の「霊峰富士(原題は"Der heilige Berg (Fudsiyama)")」が幻想的なレントで、とくに印象深いです。

いろいろある中で、よりによって「吉原帰り」が最初の曲、というのはどういう意味なんでしょうねえ…。吉原をイメージしにくい、けっこう立派な曲なんですけれどもね。

歌劇「台風」(どんな話だ?)から「さくらさくら」、これがいちばんオリジナルの旋律を生かした曲のようです。「オカズ」がすごいたくさんなので、飽きないと思いますよ。

他の曲もいろいろバラエティに富んでいるのですが、よくこれだけの曲を集めてきたものだと思いますし、これだけまとまって入れるのはかなり大変だと思います。組曲の抜粋があったりするところを見ると楽譜を用意したり、弾いたりしてから収録からはずした曲もありそうです。どういう基準でこれらの曲を選んでいるかは、CDを見た限りではわかりませんでしたが、けっこう「日本」をテーマにした曲があるものですね。

例によって話がそれますが、昔だと40分もあれば十分LP1枚になったものです。しかしこのCDの収録時間は74分あまり、ほぼLP2枚分です。最近、新たなCDのリリースが少ないのは、不景気がもちろん最大の要因でしょうが、1枚の録音時間が延びたため、枚数として減っているということもあるのではないでしょうか。

なおジャケットは、フランス窓の手前にグランドピアノのある部屋の入り口に、浴衣姿の小川典子がこちらを向いて微笑んでいるというものなのですが、笑顔がぎこちないし、着付けが何か落ち着かない感じがするのですが、気のせいでしょうか?


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