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Copland/Sym3 [交響曲(独墺以外)]

[ちなんで8]

前回「ロデオ」でご紹介した自作自演CDから、今回は交響曲第3番を。「第3番」とはついていますが、第1、第2は小編成・短時間の曲で、コープランドの大規模な交響曲はこれだけです、というか交響曲以外を含めても、いちばん大規模な曲だと思います。CDは再掲しておきます。

Copland: Orchestral & Ballet Works, 1936-1948

Copland: Orchestral & Ballet Works, 1936-1948

  • アーティスト: Benny Goodman, Aaron Copland, Aaron Copland, Michael Winfield, Columbia Symphony Orchestra, Columbia Symphony Strings, New England Conservatory Chorus, Laura Newell, London Symphony Orchestra, New Philharmonia Orchestra
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 1991/01/18
  • メディア: CD

1944年から1946年にかけて、すなわち第二次大戦の終戦前後にわたって書かれていますが、例えばショスタコービッチのようなあからさまな戦争描写はありません。曲が大規模でシリアスなこともあって哀調を帯びた部分が多いいっぽう、オーケストレイションはいつものコープランドで、弦、木管、金管、それぞれのグループで旋律を受け渡したり、カノン的に展開したり、対旋律を奏したりしています。打楽器や木琴の使われ方も含めて、ショスタコービッチを思い出させる展開が何箇所かあります。

全曲は緩-急-緩-急の4楽章構成となっています。第1楽章は静かな弦の跳躍音程で始まる、序奏のような楽章です。ゆっくりのまま次第に盛り上がっていって、頂点でお約束のドラ一発。

第2楽章は金管のファンファーレのような主題にもとづき、三部形式をとるスケルツォ的な曲想。ところどころに効果的に入る「むち」の「ピシッ」という音が印象的です。

第3楽章は再び静かな曲となり、切れ目無く第4楽章の冒頭、「庶民のためのファンファーレ"Fanfare for the Common Man"」の主題へと続きます。「ファンファーレ」のテーマはこの楽章の主要主題ではなく、曲は新しい主題に基づいて展開され、最後に曲頭を回想して華々しく終わります。

録音はこのCDの中では比較的新しく、1976年、名前から"New"が取れたフィルハーモニア管弦楽団と行われています。完成・初演後30年たった時点の録音は、奇しくも今から30年前の録音でもあります。コープランドは数多くの自作を録音していくなかで、節目としてこの録音時期を選んだのかもしれませんね。

この曲は代表的なアメリカの交響曲の一つとして、現在でも多くの指揮者・演奏団体に取り上げられています。実はこの曲もクーセヴィツキーの委嘱で書かれており、1946年10月に彼の指揮でBSOが初演を行っています。彼の委嘱で書かれた曲がこんなに多くこれまで残っているのは、むろん曲が良いということは本質としてあると思いますが、作曲家とその旬を見抜く彼の慧眼とともに、その後も作品のフォローを怠らなかった、BSOをはじめとするアメリカの演奏団体の音楽監督達の功績も忘れてはならないということでしょう。

「トロンボーン吹き」の渡辺さんが大植英次の録音をご紹介なさっていますので、TBしておきます。ここでも言及されているとおり、いちばん有名なのはバーンスタインによる録音ですね。

http://www.musicking.co.jp/cgi-local/mt/mt-tb.cgi/92


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mozart1889

こんにちは。
コープランドといえば、ボクは「アパラチアの春」や「エル・サロン・メヒコ」などを収録したドラティ盤(DECCA)しか聴いたことがありません。
ややアメリカ音楽が苦手なのかもしれません・・・。
このエントリーを拝読して、コープランドの交響曲を聴いてみたくなりました。有名なバーンスタイン盤でも。。。。
そういえば、バーンスタインはコープランドと大変親しかったんですよね・・・。
by mozart1889 (2006-01-10 15:20) 

stbh

mozart1889さんこんにちは。コメントありがとうございます。そのドラティ盤、私も持っています。デトロイトの硬質な音がよかった時代ですね。メヒコはバーンスタイン盤にも入っています。廉価国内盤が出たことですし、ぜひお楽しみください。よろしければバーンスタインの自作自演盤もどうぞ。古い音楽雑誌などには、バーンスタインは「指揮もする作曲家」として紹介されていたそうですので。
by stbh (2006-01-11 00:24) 

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