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Beethoven/KlavierSonaten [室内楽・器楽曲]

はずかしながら、やっと先日、これを入手することができまして、ゆるゆる聴いています。もう国内盤でも1万円台前半になってしまったのですね。

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集

ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集

  • アーティスト: バックハウス(ウィルヘルム), ベートーヴェン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 1999/06/02
  • メディア: CD

CDの無かった高校生の頃から憧れではありましたがどうにも高くて手が出ない。でも「全集」に弱い癖があって、「名曲集」とか買う気もしない。また、多少ピアノが弾けたので、「ピアノは弾くもので、(または演奏会で聴くもので、録音なんかで)聴くものじゃないやい」と録音を入手するのに消極的だった。で、バックハウスに限らずベートーヴェンのソナタはあまり多く聴かずにン十年経ってしまっていたわけです。

昨年、たまたま近所のデパートのバーゲンで楽譜を2冊1000円(上巻はPeters、下巻はHenleだけど新品だし2冊でもDoverの1冊より安いぞ)でゲット!して、自分でたまーにぽろぽろやってみたりしてたのです。しかし中学・高校生ならいざしらず、時間も根気も無く太刀打ちできない。われながらがっかりしていたのですが、たまたまこのCDを見つけて、つい手を出してしまいました。

じっくり楽譜を見ながら聴くのは別の機会にするとして、まず有名どころのダイジェストを車の中で。

聴いた曲は「悲愴」「月光」「熱情」「告別」の漢字二文字名曲シリーズ。いずれも全曲通して聴いたのは久しぶりなのですが、「告別」のみ異質ですね。他の3曲は「ピアニスト・ベートーヴェン」が表に見える(聞こえる)のに対し、「告別」は作曲家の顔が大きくなり始めてきています。ヴィルトゥオジティがだんだん影をひそめ、より単純な中にも訴える力がある曲想に変わっていくのが、特に後半2曲は感じられます。

各曲とも、曲自体は交響曲だと第3、5、6番、弦楽四重奏曲だとラズモフスキー3曲のように有名どころですから、本当によく出来た曲だと思います。それほど超絶難しい曲ではないので、音大生や音高生、場合によっては中学生なんかも弾いてしまうこれらの曲ですが、きちんと、またその中で面白く弾くのはやはり難しいと思います。バックハウスはことさら思い入れを見せ付けるでもなく、さりとてただ淡々とではなく、細部にいろいろな思い入れをこめながら弾いているかのように思えました。

ネット上で見る限り、バックハウスのステレオ盤の評判は必ずしも芳しくないようです。確かに細かいフレーズでタッチがかすんだり、和音の鳴りが多少ずれたりということはあるようです。もう70歳以上ですから、いかに世界のトッププロ(そぐわない表現で恐縮ですが)とはいえ最高のテクニックを維持しつづけるのは困難だろうと思います。その衰えを補うものがこの録音にあると思うか、ないと思うかが評価の分かれ目なのでしょう。

で、私はどう思うかといえば、このセットには好感を持っています。古く画一的なイメージなのかもしれませんが、まずは古典的な(装飾的要素や情緒が過度に入らない)アプローチのベートーヴェンが聴きたいと思いますし、バックハウスに期待するのもそういう姿勢でしょう。テンポ運びや音の表情の変化など、現代の融通無碍な演奏にくらべればぎこちないような気もしますが、かえってその方が曲が(ベートーヴェンが)鮮明に見えてくる感じがします。

惜しくも再録音できなかった第29番やディアベリ変奏曲も聴いてみましたが、ステレオ録音もそれほど遜色ないのではないか、これらの曲もやはりできればピアノの音がより原音に近いステレオ盤で聴きたいと思いました。耳が悪いと言われてしまえばそのとおりなのかもしれません。

ただ、「悲愴」「月光」は1958年、新全集の最初の録音です。「熱情」「告別」もそれぞれ59、61年と比較的若いころの録音に属します。すなわちこれら初期のステレオ録音はモノラルの旧全集(の後半)と時期的に近いのです。バックハウスの作風が徐々に変化していったと考えるのは自然だと思うのですが、とすれば、よほど大きいショックが無い限り、少なくともこれら初期の録音は旧全集とそれほど違っているとは考えにくいのではないでしょうか。最晩年(68~69年)の録音は未聴なので、ことによったらもっと衰えが顕著に聞こえるのかもしれません。その結論は、そのうち車で聴いたときに。


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