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Tchaikovsky/Sym4 [交響曲(独墺以外)]

「昔の演奏会録音で聴くマーラーシリーズ」は、いったん次回で終える予定なのですが、それに使うテープのA面の録音を聴いたので、思ったことを少々。

1982年のザルツブルク音楽祭における小澤/VPOのチャイコフスキー/交響曲第4番です。小澤はこの曲を3回録音していますが、時期的に一番近いのは88年のこれ。 この他にサイトウ・キネン(95年)とパリ管(70年)との録音があるようです。

チャイコフスキー:交響曲第4番

チャイコフスキー:交響曲第4番

  • アーティスト: 小澤征爾, ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団, チャイコフスキー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2003/08/21
  • メディア: CD
なんと来月には「小澤征爾 70歳記念BOX 70枚組10万円」というのが出るそうです。もう70才ですか!ウィーン国立歌劇場も契約延長になったようで、ますます盛んですね。
 
クラシックを聴き始めたころ、ちょうど小澤の70年代の録音が廉価落ちしはじめて、トロントやシカゴ、サンフランシスコの各交響楽団との録音をいくつか聴きました。デジタルになったばかりのころ、ボストンとの「英雄の生涯」を珍しくレギュラー盤で買ったりもしましたね。このころはフィリップスへの録音が多く、先日ちらっとご紹介したマーラー第8番もこの時期(80年)の録音です。第8番は同時期にフランス国立管弦楽団へも客演して指揮しており、第1部だけテープがありました(いかに雑なリスナーであったか)。この演奏会も、それに近い時期ですね。
 
小澤の実演に接したのは91年夏のタングルウッドと冬のシンフォニーだけです。以前に書きましたが、タングルウッドでは大きい曲はオケコンと復活を聴き(見)ました。サインをもらおうと思ったのですがなんかすごい忙しそうで声をかけられなかった。レクサスを乗り回していて、半ドアの警告音を鳴らしたまま事務所に駆け込んだりしていましたっけ。
 
チャイコフスキーは昔からのレパートリーのようで、後期の交響曲は3回ずつ録音しているようですし、白鳥の湖(全曲)や「1812年」も録音しています。サイトウキネンをやり出して、ボストンとの不仲(よく言えば、ヨーロッパへの強い思い)が表面化してきたころからあまり興味がなくなり、最近の録音や演奏は聴いていません。意識しているわけではありませんが、私は海外の長期滞在はアメリカしか経験していないのでアメリカに愛着があって、それを見捨てた小澤を、どこかで不愉快に思っているのかもしれません。
 
さて、今から20年余り前=40代の颯爽としていた頃の演奏ですが、相手がウィーン・フィルのせいか、おとなしいです。いまでこそウィーンとの蜜月ですが、当時の客演はウィーンよりベルリンの方が圧倒的に多く、この放送でも、「ウィーンはベルリンほど小澤となじんでいなくてぎこちない」というような解説があったと記憶しています。小澤はもともとスマートで流麗な解釈が身上だと思います。この録音を聴いても、第1楽章はかっこいいですが、どちらかというと抑制された、統率された印象を受けます。第2楽章の方がテンポ運びも優雅で、自由に、余裕をもって演奏している感じ。踊るような小澤の指揮が目に浮かびます。
 
第3楽章は遅いです(特に弦のところ)。そのぶんウィーン・フィルのアンサンブルのよさが際立つ演奏です。アタッカで入る第4楽章も、第1楽章と同様にすっきり、さわやかです。というか、たぶんちょっと物足りない。第1楽章の再現も、コーダも音量はでかいのですが羽目をはずさず、鮮やかに終わります。スヴェトラーノフの言う「非ロシア的なチャイコフスキー」の一典型なのかもしれません。(どこかの通販サイトのスヴェトラーノフの特集ページに、「チャイコフスキーは西側の指揮者によってゆがめられている」というインタビュー記事が載っていましたので、それを受けて)
 
でも、けっこう大きな拍手とブラヴォー。これはこれで、当時の小澤に期待されていたとおりの演奏だったのかもしれません。
 
ところで、このはではで第4楽章の最後の音はみんなで(できるだけ)低いFを出しますが、大太鼓とシンバルがかぶりません。ティンパニはトレモロですが、トライアングルはトレモロでなく「ちーん」といって終わってしまうのが、気になりだすとみょーに情けないです。大太鼓とシンバルをたたかせる指揮者もいるようで、そのときには全オーケストラでただひとり、ピッコロの人だけ休みになります。
 
ベルリン・フィルはカラヤンのおかげで「ドイツの名門オーケストラ」から「インターナショナル・ヴィルトゥオーゾ・オーケストラ」に変わりました。ウィーン・フィルはよくも悪くも「ウィーンのオーケストラ」であってほしいと思うのは、素人のあさはかな願いなのでしょうか。「ウィーンの音」を守る楽器がヤマハ製でもよいし、指揮者は世界中の名指揮者がとっかえひっかえ来てもかまわないと思いますが、「ウィーン気質」を、見せ/聴かせ続けてほしいです。少なくともこのころまでのウィーン・フィルにはそれがありました(遠い目)。

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コメント 4

サンフランシスコ人

今シーズンサンフランシスコ交響楽団に出ませんでした.....
by サンフランシスコ人 (2012-07-18 08:42) 

stbh

サンフランシスコ人さん

コメントありがとうございます。お返事遅くなり失礼いたしました。
なかなか健康を取り戻すのは難しそうですね…。
by stbh (2012-12-23 11:50) 

サンフランシスコ人

「今シーズンサンフランシスコ交響楽団......」

残念でした...
by サンフランシスコ人 (2013-06-25 05:33) 

サンフランシスコ人

「完全復活の小澤征爾 初心に戻ったSKOと快演」

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130831/ent13083108570003-n1.htm
by サンフランシスコ人 (2013-09-03 06:12) 

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